「ぼくのふゆやすみ」- 新潟編 -


 九歳の冬、私は新潟の叔母の家に預けられた。

「ボクくん、玄関の前に雪が積もって出るのが大変なんだけど、
 雪かき、手伝ってくれるかな?」

(うんうん)

 ざっく ざっく ざっく

「ふぅ〜」

「ボクくん、除雪車が通って、門の前に雪がたまって大変なんだけど、
 雪かき、手伝ってくれるかな?」

(うんうん)

 ざっく ざっく ざっく

「ふぅ〜」

「おつかれさま。はい、これ。ごほうび。
 朝青龍も飲んでるって評判のヤスダヨーグルトのドリンク」
「ありがとう、おばちゃん」

(???)

「お…おばちゃん、これ、ちょびっとしか飲めないよ。
 逆さにしても、全〜然でてこない」
「あー。ボクくん、ヤスダヨーグルトのドリンクは初めてだったか…。
 そういう時は、コップの上で逆さにして、何度も上から叩いてみて」
(うんうん)

 パン! パン! パン!

「ふぅ〜。やっと飲めた。これ、濃いね」
「でしょー」
「すごいや」
(うんうん)

「ボクくん、雪が積もって、シロが犬小屋から出られなくなりそうだから、
 雪かき、手伝ってくれるかな?」

(うんうん)

 ざっく ざっく ざっく

「ふぅ〜」

「おつかれさま。ボクくん、おやつ何がいい?」
・ハッピーターン(亀田製菓)
・亀田の柿の種(亀田製菓)
・ルマンド(ブルボン)
・ばかうけ(栗山米菓)
・とうがらしの種(みながわ製菓)
・元祖浪花屋の柿の種(浪花屋製菓)
・元祖浪花屋柿チョコ(浪花屋製菓)
・元祖浪花屋ホワイト柿チョコ(浪花屋製菓)
・元祖浪花屋カフェオレ柿チョコ(浪花屋製菓)
・たくあん(自家製)

「うーんと…、元祖浪花屋カフェオレ柿チョコ」
「あら、ボクくん。ずいぶんと渋い選択ね」
「そ…、そうかな?」
(ポリポリ)

 もぐ もぐ もぐ

「び、びみょうな…味が…する…」
(うーん)

「ボクくん、今日の夕飯、何だと思う?」
・のっぺい汁
・のっぺい汁
・塩ジャケ
・のっぺい汁
・まだカビてない年越しソバ
・油断するとカビちゃうから餅を早めに
・のっぺい汁

「うーんと…、のっぺい汁」
「よーし。おばちゃん、頑張って作るから、楽しみに待っててね」

 R R R R R R… R R R R R R…

「あ、電話がなってる」

「ごめーん、ボクくん。おばちゃん、今ちょっと手が離せないから、
 代わりに出てくれる?」
(うんうん)

 ガチャ

「いなした?」
「え?」
「おれだでばおれだでば」
「あ、あの…」
「おーれだでばおれだでば」
「どちらさまですか?」
「なーにゆーでっかんさおめさん、おーれだでば」
「あの〜、ぼく…」
「あ、家のしょでねーろっか、わーりがった。だっかいなした?」
「は、は…?」

「あーゴメンゴメン、ボクくん、今かわるね」
(うーん)

「今の電話…、なに…?」
「ご近所の人よ」
「おれだでば、とか、言ってたけど」
「そっかぁ、ボクくん、新潟弁は初めてだったか…」
「にいがた…べん…?」


 1がつ3か ゆき

 きょう、ゆきかきをした。なんどもなんどもゆきかきをした。
 ヨーグルトをのんだ。すごかった。マックシェイクみたいだった。
 かきのたねをたべた。すごかった。チョコのあじがした。
 のっぺい汁をたべた。すごかった。イクラがゆだっていた。
 また、ゆきかきをした。なんどもなんどもゆきかきをした。

 にいがたは、なにかとたいへんだ。
 やんや、よいでねわ。


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