「バーチャル三者会談」
− Yellow Magic Orchestraの場合 −


「前回の『テクノドン』は、あまりにもリスナーを突き放しちゃったと思うんですよ」 「昔の曲とか全然なしでしたからね」
「ドームなのに」
「で、今回はサービスしてみようかと思いまして」
「ふんふん」
「懐かしい響きですね」
「僕らも、一度原点に還らないと駄目なんじゃないかな、と」
「原点というと、どのような」
「徹底的な全国ツアーとか、どうでしょう」
「テクノ行脚ですか」
「前にアッコちゃんが『ピアノ一台あれば、注文に応じて全国どこへでも』って
 やってましたけど、ああいうのはどうですかね」

「でも…僕らの場合、本音でも建前でも電子楽器が要りますが」
「じゃあ『コンセント(の差し込み口)一つあれば、全国どこへでも行きます』
 というのは」

「いいですね、それ決まり。あと…全国を回るにしても、今まで以上の物を演らないと
 サービスとは呼べないと思うんですよ」

「『コンプリート・サーヴィス』よりもサーヴィスしちゃうんですか」
「ええ。折角やるんですから、リクエストにも応じつつ、日本全国津々浦々
 180〜200本ぐらいの長旅を」

「昔のハウンド・ドッグみたいですね」
「MCで『会いたかった、ぜぇえぇえぇえぇえぇえぇえぇ』とか、
 サーヴィスの一環と思えば、それはそれで」

「まぁ、提案しておいてナンですが、体力的な面での不安はありますけども」
「もう既に『弱気なぼくら』になってます」
「200本だと、各都道府県・平均4回は演れちゃいますよね」
「ええ。どんなに小さなところでも大事にしたいんで、
『“渋谷公会堂みたいな公会堂”じゃない公会堂』も演りたいんですよ」

「ご近所さんが会合に使ったりする、キャパ40人ぐらいで畳敷きの和風テイストな」
「正にそれです。お客さん全員、座布団に座ってる前でライブやるんです」
「途中でトイレに行く人、やたら目立ちますよ」
「いきなり電話が鳴って、取った人が『岡田さーん、家から電話ですー』とか」
「微妙なライブですね」
「今は携帯の時代じゃないですか」
「ご年配の方だと、持っていない可能性もありますから」
「なるほど。それから、以前にも演ってました『TECHNOPOLIS』のご当地版は、
 より一層その地域に根差したローカルなもので」

「バージョンアップしますか」
「取り敢えず、思いつきで」
「根室」

「ねむろ

 ねむろ
 ちゃーーちゃちゃーーちゃ ちゃーーちゃちゃーーちゃ

 T - E - C - H - N - O - P - O - L - I - S ・・ねむろ

 みたいな感じですか」


「幅広い年代層に聴いて欲しいんで、巣鴨とか」

「すがも

 すがも
 ちゃーーちゃちゃーーちゃ ちゃーーちゃちゃーーちゃ

 T - E - C - H - N - O - P - O - L - I - S ・・すがも」


「御利益ありそうですね」
「お爺ちゃん・お婆ちゃんのハートをがっちりキャッチですよ」
「あー、言葉的に面白そうなのがありました」
「どこですか」
「三重県の県庁所在地」
「『津』でしたっけ」

「つ

 つ
 ちゃーーちゃちゃーーちゃ ちゃーーちゃちゃーーちゃ

 T - E - C - H - N - O - P - O - L - I - S ・・つ」


「ある意味サービスな気もしますね」
「まあ異論はあるかと思いますが、こういう方向で進めましょう。
 もう一つ、ツアータイトルをどうするか、なんですが」

「コンプリートを越えるなら『アルティメット・サーヴィス』で」
「なんとなく強そうな響きですね」
「総合格闘技のような」
「あ、それとですね、いくら小規模でも我々三人だけじゃ心許ないんで、
 誰かサポートをお願いしたいんですよ」

「やっぱり松武(秀樹)さんですか」
「今の松武さんの活動を考えると、長期の拘束は無理だと思うんですが」
「じゃあ、他の人に頼みましょう。丁度、腕の立つ知り合いがいまして」
「それは初耳ですね」
「なんて人ですか」
「“シメジさん”っていうんですけど」
「ネタじゃないでしょうね、それ」
「ネタです(笑)」
「でも、新鮮な響きですね。“シメジさん”」
「松武さんが山に生えている本物だとすると、シメジさんは
 永谷園のお吸い物みたいな存在に感じられるんですが」

「いや、アレですよ。『香り松茸・味しめじ』って言うじゃないですか」
「大事なのは味ですね」
「ですね」
「そんなこんなで、今日のところは散開しましょう」

「…マイタケさんって人も結構イケてるんじゃないかと思うんですが」
「まだ言ってますか(笑)」

※この文章はフィクションです。


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